
「ジブリ作品は一通り観たつもりだったのに、見落としていた名作があった」そんな経験、ありませんか。
スタジオジブリの作品は数も多く、公開年代や監督もさまざま。実はまだ観ていない作品がある、という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、スタジオジブリの長編作品25作を、監督別かつ公開年順に整理しました。初めて観る人にも、見直したい人にも活用しやすいように、各作品のあらすじと見どころをコンパクトにご紹介します。
1. 宮崎駿監督作品|冒険のワクワクと、「生きる」ための問い
宮崎駿監督のジブリ作品は、空を飛ぶ爽快感や冒険の高揚感があると同時に、観終わったあとに「自分ならどうするか」を考えさせられる余韻があります。
子どもの頃は純粋に物語を楽しめて、大人になってから観返すと、登場人物の選択が違った角度から心に響いてくる。そんな作品が揃っています。
風の谷のナウシカ(1984年)

© 1984 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, H
あらすじ:巨大な蟲(むし)たちが暮らす森「腐海」に覆われつつある世界。風の谷の王女ナウシカは、人間同士の争いを止めようとしながら、自然と共存する道を探していきます。
見どころ:対立のなかでも憎しみに飲み込まれず、相手を理解しようとする姿勢。正しさを振りかざすのではなく、最後まで「生き方」を選び続ける主人公像が印象に残ります。
天空の城ラピュタ(1986年)

© 1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
あらすじ:空から降ってきた少女シータと、少年パズーの物語。伝説の浮遊島ラピュタをめぐり、ふたりは軍と空賊ドーラ一家が入り乱れる争奪戦に巻き込まれていきます。
見どころ:少年少女のまっすぐな信頼関係と、最初は敵でも、次第に味方のように感じられてくるドーラ一家の人間味。冒険活劇としての爽快感と、物語終盤で描かれる大きな決断の重みが印象に残ります。
となりのトトロ(1988年)

© 1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
あらすじ:入院中の母のそばで暮らすため、田舎へ引っ越してきたサツキとメイ。豊かな自然の中で、不思議な生き物トトロと出会い、日々が少しずつ変わっていきます。
見どころ:子どもの視点で描かれるファンタジーでありながら、家族を思う気持ちから生まれる不安や戸惑いが静かに描かれています。大人になって観ると、姉として踏ん張るサツキの姿がより切実に映ります。
魔女の宅急便(1989年)

© 1989 Eiko Kadono/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, N
あらすじ:13歳の魔女キキが、相棒の黒猫ジジとともに見知らぬ街でひとり立ち。空飛ぶ配達の仕事を始めますが、ある日突然、うまく飛べなくなってしまいます。
見どころ:「頑張りたいのに、前みたいにできない」瞬間を正面から描く一作。才能や根性だけではどうにもならない時期をどう乗り越えるかが、丁寧に描かれています。
紅の豚(1992年)

© 1992 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NN
あらすじ:第一次大戦後のアドリア海。自らに魔法をかけ、豚の姿になった賞金稼ぎポルコが、空賊やライバルとの戦いに身を投じていきます。
見どころ:軽妙な会話と空戦の爽快感の奥に、時代への複雑な思いが感じられます。格好よさを誇示するより、「それでも飛ぶ」というスタンスが渋い作品です。
もののけ姫(1997年)

あらすじ:呪いを受けた少年アシタカは、旅の途中で森の神々と人間の争いに巻き込まれます。山犬に育てられた少女サンとの出会いをきっかけに、対立の真ん中で生き方を選ぶことになります。
見どころ:善悪で割り切れない現実を、真正面から描いた作品。アシタカの「曇りなき眼で見定める」という姿勢が、物語の芯になっています。
千と千尋の神隠し(2001年)

あらすじ:不思議な世界に迷い込み、名前を奪われた千尋。湯屋で働きながら、豚にされた両親を救うために奮闘します。
見どころ:最初は不安に押しつぶされそうになっていた千尋が、働くことで少しずつ状況を変えていく成長譚。「名前」「居場所」「仕事」を通じて、子ども向けに見えて大人にも刺さるテーマが詰まっています。
ハウルの動く城(2004年)

あらすじ:呪いで老婆の姿に変えられたソフィーは、ひょんなことから魔法使いハウルの城へ。奇妙な共同生活の中で、戦争へ傾く世界と向き合っていきます。
見どころ:ハウルの危うさと、ソフィーの芯の強さの対比が魅力。ソフィーの心の持ちようによって外見の年齢が変わるという設定が、自己肯定感というテーマに静かにつながります。
崖の上のポニョ(2008年)

あらすじ:人間になりたい魚の子ポニョと、5歳の宗介。ふたりの出会いがきっかけで、海と世界が大きく揺らぎはじめます。
見どころ:波や海のうねりの描写が、画面いっぱいに生命力を感じさせます。理屈よりも、映像の勢いと感情の流れで物語が進んでいくテンポが心地よい作品です。
風立ちぬ(2013年)

あらすじ:美しい飛行機を作りたいと願う堀越二郎。しかし時代は戦争へ傾き、夢は兵器へと転用されていきます。病を抱える、愛する菜穂子との限られた時間を大切にしながら、彼は進むべき道を選びます。
見どころ:飛行機づくりへの情熱と、戦争へ傾いていく時代の現実との間で揺れる人生が描かれています。観終わったあと、簡単には割り切れない余韻が残る作品です。
君たちはどう生きるか(2023年)

あらすじ:母を失った少年・眞人は、不気味な青サギに導かれるように異世界へ。そこで過去と向き合いながら、選択を迫られていきます。
見どころ:物語を理解するというより、観た人の記憶や感情に問いかけてくるタイプの作品です。観るタイミングで受け取り方が変わる点も含めて、いろいろ考えたくなる作品です。
2. 高畑勲監督作品|日常の輪郭がくっきり見えてくる5本
高畑勲監督のジブリ作品は、派手な魔法や冒険よりも、暮らしの手触りや感情の揺れが丁寧に描かれています。特別な出来事が起きるわけではないのに、観終わったあと、なぜか長く残る。そんな作品が揃っています。
火垂るの墓(1988年)

あらすじ:戦時下、親戚の家を出た清太と節子の兄妹。防空壕でふたりきりの生活を始めますが、飢えと孤独のなかで、ふたりは少しずつ追い詰められていきます。
見どころ:単に悲劇として描くのではなく、清太の選択や未熟さも含めて、戦時下の現実として描いている点が胸に迫ります。観る側の感情を一方的に誘導するのではなく、それぞれに考えさせる形で、強い印象を残す作品です。
おもひでぽろぽろ(1991年)

あらすじ:東京で働くタエ子が、休暇で山形へ。幼い頃の記憶をたどりながら、今の自分の選択を静かに見つめ直していきます。
見どころ:過去の自分を思い出すほど、現在の輪郭がはっきりしていく構成が見事。大人になったからこそ分かるタイプのジブリ作品として、じわじわ効きます。
平成狸合戦ぽんぽこ(1994年)

あらすじ:多摩ニュータウン開発によって住処を失ったタヌキたちは、古来の“化け学”を武器に人間へ抵抗を始めます。
見どころ:ユーモラスなタッチで始まりながら、物語が進むほどに現実の重みがのしかかる。勝ち負けでは割り切れない「変わっていく土地」と「生き残るための選択」が描かれています。
ホーホケキョ となりの山田くん(1999年)

あらすじ:マイペースな山田家の日常を、4コマ漫画のような軽やかさで描くオムニバス作品。家族の“あるある”が淡々と積み重なっていきます。
見どころ:派手な事件は起こりませんが、家族の何気ない一日一日が、どこか可笑しく、どこか大切に感じられます。気楽に観られて、日々の暮らしが少し愛おしく感じられる作品です。
かぐや姫の物語(2013年)

あらすじ:竹の中から生まれた姫が、美しく成長し、やがて月へ帰るまで。生きる喜びと、選べない運命の残酷さが交差する物語です。
見どころ:線の揺れや筆致そのものが感情のように動き、絵が演技しているように見える作品です。終盤の展開は美しさと冷たさが同居し、すぐには言葉にできない余韻が、あとからじわじわと効いてきます。
3. 次代を担う監督たち|“ジブリらしさ”を広げた長編作品
スタジオジブリの魅力は、宮崎駿監督・高畑勲監督だけで完成したわけではありません。
近藤喜文監督、森田宏幸監督、宮崎吾朗監督、米林宏昌監督など、次の世代が手がけた作品にも、それぞれのジブリらしさが息づいています。
※以下には、TVスペシャル作品や海外共同制作作品も含まれます。
耳をすませば(1995年/監督:近藤喜文)

あらすじ:読書好きの雫と、バイオリン職人を目指す聖司。中学3年生のふたりが、初恋と将来への不安の間で揺れながら、自分の道を探していきます。
見どころ:大きな出来事は起こらないものの、進路や夢に対する迷いや焦りが、等身大の感覚で伝わってきます。誰かに背中を押されるのではなく、自分で一歩踏み出す物語として長く愛されています。
海がきこえる(1993年/監督:望月智充)※TVスペシャル

あらすじ:高知に暮らす高校生たちの恋愛と友情を描いた青春ドラマ。東京から来た里伽子の存在が、拓と松野の日常を少しずつ揺らしていきます。
見どころ:90年代の空気感と、地方都市の人間関係の距離感が、そのまま作品の雰囲気になっています。会話や感情のやり取りを中心に物語が進んでいく一作です。
猫の恩返し(2002年/監督:森田宏幸)

あらすじ:猫を助けたことで「猫の国」へ招待された女子高生ハル。自分を見失いかける中、男爵バロンの導きで元の世界へ戻る道を探します。
見どころ:テンポの良さと、軽やかで親しみやすいファンタジーの世界観が魅力。短めで観やすく、気軽に楽しめる作品です。
ゲド戦記(2006年/監督:宮崎吾朗)

あらすじ:世界の均衡が崩れつつある中、父を刺して逃亡した少年アレンは、ハイタカ(大賢者ゲド)と旅をすることに。旅の中で、自分の弱さや恐れと向き合うことになり、少しずつ自分自身を見つめ直していきます。
見どころ:弱さや不安を抱えたまま進んでいく主人公の姿により、成長がきれいごとではなく、現実味のあるものとして伝わってきます。挿入歌「テルーの唄」の印象的な使われ方も、強い余韻を残します。
借りぐらしのアリエッティ(2010年/監督:米林宏昌)

あらすじ:人間の家の床下に暮らす小人の一家。14歳のアリエッティが人間の少年・翔に見つかったことから、平穏だった暮らしが揺らぎます。
見どころ:角砂糖や洗濯ばさみが道具になる、小人視点ならではのサイズの感覚が楽しい。見慣れた家の中が、小人の視点ではまるで別世界になる面白さを、丁寧な描写で描いています。
コクリコ坂から(2011年/監督:宮崎吾朗)

あらすじ:東京オリンピックを控えた横浜。同じ高校に通う海と俊は、古い部室棟の存続をめぐる活動を通して、少しずつ心を通わせていきます。
見どころ:学生たちの熱量と、昭和の街並みの空気感が心地よく伝わってきます。食卓の描写や生活音といった細やかな演出も相まって、観ている側の気持ちが少し整うような作品です。
思い出のマーニー(2014年/監督:米林宏昌)

あらすじ:心を閉ざした少女・杏奈は、療養先の海辺で不思議な少女マーニーと出会います。湿っ地屋敷を舞台に、記憶と家族の秘密がほどけていきます。
見どころ:ミステリーのように進む物語の中で、主人公の孤独が少しずつ言葉になっていく。観終わったあとに、タイトルの意味が静かに効いてきます。
レッドタートル ある島の物語(2016年/監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)※海外共同制作

あらすじ:無人島に漂着した男の生涯を、セリフなしで描く異色作。赤い亀との出会いをきっかけに、人生の時間が流れていきます。
見どころ:セリフがないぶん、波の音や風の気配といった自然の音や空気感が、登場人物の感情や時間の流れを伝えてくれます。ジブリ作品の中でも特に静かで、人生を俯瞰して見るような感覚が残る作品です。
アーヤと魔女(2020年/監督:宮崎吾朗)

あらすじ:孤児院で育ったアーヤは、突然ある魔女の家で暮らすことに。環境に振り回されながらも、持ち前の機転で居場所を作っていきます。
見どころ:ジブリ作品としては初のフル3DCG表現。従来の“守られるヒロイン像”とは違い、主人公が状況を動かしていくタイプの物語です。
まとめ|一覧表
スタジオジブリの作品は、観るタイミングによって印象が変わります。
子どもの頃は冒険として胸が躍った作品が、大人になって観返すと、登場人物の言葉や選択がまったく違って感じられることもあります。
もし作品選びに迷ったら、今の気分で選んでみてはどうでしょう。この記事が、あなたにとっての「今観たいジブリ作品」を見つける手がかりになれば嬉しいです。
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公開年(日本) |
作品名 |
監督 |
|
1984 |
風の谷のナウシカ |
宮崎駿 |
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1986 |
天空の城ラピュタ |
宮崎駿 |
|
1988 |
となりのトトロ |
宮崎駿 |
|
1988 |
火垂るの墓 |
高畑勲 |
|
1989 |
魔女の宅急便 |
宮崎駿 |
|
1991 |
おもひでぽろぽろ |
高畑勲 |
|
1992 |
紅の豚 |
宮崎駿 |
|
1993 |
海がきこえる(TVスペシャル) |
望月智充 |
|
1994 |
平成狸合戦ぽんぽこ |
高畑勲 |
|
1995 |
耳をすませば |
近藤喜文 |
|
1997 |
もののけ姫 |
宮崎駿 |
|
1999 |
ホーホケキョ となりの山田くん |
高畑勲 |
|
2001 |
千と千尋の神隠し |
宮崎駿 |
|
2002 |
猫の恩返し |
森田宏幸 |
|
2004 |
ハウルの動く城 |
宮崎駿 |
|
2006 |
ゲド戦記 |
宮崎吾朗 |
|
2008 |
崖の上のポニョ |
宮崎駿 |
|
2010 |
借りぐらしのアリエッティ |
米林宏昌 |
|
2011 |
コクリコ坂から |
宮崎吾朗 |
|
2013 |
風立ちぬ |
宮崎駿 |
|
2013 |
かぐや姫の物語 |
高畑勲 |
|
2014 |
思い出のマーニー |
米林宏昌 |
|
2016 |
レッドタートル ある島の物語(海外共同制作) |
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット |
|
2020 |
アーヤと魔女 |
宮崎吾朗 |
|
2023 |
君たちはどう生きるか |
宮崎駿 |
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